昔よりも転職が当たり前になった日本でも、働いていると「石の上にも三年」「〇回以上の転職はマイナス」という空気を感じることが少なくありません。一方、台湾では2〜3年ごとの転職は珍しくなく、「キャリアアップのために会社を変える」のがごく普通のこととして受け入れられています。今回、台湾と日本の転職に対する考え方の違いや、台湾における転職の特徴、若者のキャリア観、そして転職が持つポジティブな意味について掘り下げていきたいと思います。
台湾と日本の転職に対するとらえ方の違い
日本:長期雇用と安定志向
日本では「新卒一括採用」「終身雇用」「年功序列」という雇用慣習が長く根付いており、同じ会社に長く勤めることが信頼や安定につながると考えられてきました。実際にローンを組むときなどにも勤続年数や勤務先は重視されますよね。転職が当たり前になった現在でも、会社によっては「我慢できずに辞めた」「スキルが足りないのでは」とネガティブに見られることも多く、履歴書に短期間の職歴が並ぶと不利になるケースもあります。
台湾:流動的なキャリア形成
これに対して台湾では「良い条件を求めて転職するのは当たり前」という考え方が一般的です。日本と異なり転職によって給料を上げていかないと全然収入が増えないということもあり、特に若いころの数年ごとの転職は当たりまえという感覚です。転職せず何年も同じ会社にいると「向上心がない」とみられることも。履歴書に短期の職歴があっても、即戦力となるスキルや経験があれば経験としてプラスにとらえられます。

同じ会社にいても大して給料が上がらないのも大変!
台湾での転職の特徴
1. 給与アップは転職の最大の動機
台湾では昇給率が低いため、同じ会社に長く勤めても給与は大きく伸びません。そのため、転職によって一気に待遇を改善するのが一般的です。 20代は給料が低いことが多く、1年~2年ほど勤めて転職し給料を上げていく人が多いです。また、日本のように「3年は我慢して働く」というのはないため、会社が嫌だ、仕事内容が好きじゃないという理由で数ヶ月で転職することも少なくありません。実際に台湾で働いていると、人の入れ替わりが早いなぁと思うことがあります。
2. 即戦力採用が中心
日本のような新卒一括採用を行っていないため、大学卒業後働きたいと思ったタイミングで就職するのが一般的です。そのため大学卒業後すぐに就職せずワーホリや留学に行ったりする人も少なくありません。また、中途採用市場が活発で専門スキルや経験が重視されるので、スキルアップ→転職→スキルアップ→転職というサイクルが日本よりもはっきりとしています。
3. 履歴書の評価基準が異なる
業界にもよりますが、日本では「短期間で辞めた」こと自体がマイナス評価につながりがちですが、台湾では「前職で何を学んだか」「どんな成果を出したか」が重視されます。たとえ1年で転職しても、学んだことや経験が活かされると思えば企業はその人材を採用しますし、1年という短い期間でも経験として見てくれる企業が多いです。
台湾の若者の転職事情
20~30代は2〜3年での転職が一般的
台湾の20〜30代の若者は「入社して数年後に次のキャリアを探す」ことを前提にして働いています。「1つの会社で5年以上」という人は少なく、むしろ複数の職場を経験している方がキャリア形成に有利だと考えられています。もちろん、同じ会社に勤め続ける人もいますが、日本と比較すると割合としては少ないと思います。
主な転職理由
- 給与・待遇を改善したい
- 職場環境や人間関係が合わない
- 成長やスキルアップの機会を求める
- 海外や外資系でのキャリアに挑戦したい
就職に対する価値観の違い
台湾の若者は「仕事は人生の一部」と割り切り、プライベートとのバランスを重視する傾向が強いです。会社への忠誠心よりも「自分のキャリアをどう築くか」に意識が向いています。また、会社に所属するより自分でビジネスを立ち上げたいという独立心がある人が多く、「人に使われる立場」よりも「人を使う立場」になるために自営業や会社経営者を目指す人も多いです。
転職はポジティブなこと?
台湾では、転職は「より良い環境を求めて次に進む」ポジティブな選択と考えられています。もちろん超短期間で何社も転職を繰り返している人は「ジョブホッパー」と思われて採用に不利になりますので、面接で自分のスキルや転職の理由をしっかりと説明できるように準備する必要がありますが、基本的には企業側も「転職する前提」で採用活動を行っているところが多いでしょう。
- キャリアアップ:スキルや経験を広げ、管理職や専門職へステップアップするための手段
- 待遇改善:給与や福利厚生を改善できる機会
- 自己実現:自分に合う職場を探し、ワークライフバランスを整える方法
まとめ
日本では「長く勤めること」が重視されるのに対し、台湾では「転職を通じて成長する」ことが当たり前になっています。若者は数年ごとの転職を前提にキャリアを積み重ね、転職を重ねて給与とポジションをあげていく傾向があるので台湾で働く、あるいは台湾人と一緒に仕事をする際には、こうした文化的背景を理解しておくことが重要です。
また、今後台湾で働きたいと思っている人は、台湾では転職は普通のことですので、失敗を恐れず自身の理想のキャリアのために転職を念頭にいれてキャリアアップを目指していくのも一つの手段だと思います。



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